芸術の都・パリ。
多くの芸術家を惹きつけてやまないこの地で活躍する日本人にスポットを当て、q parisがその生き方を取材・紹介していきます。
photo by Makino Mayu
常に向上心を持ち、やりたいことのために自分で道を切り拓いてきた彼女のパワフルでポジティブな考え方や、今後思い描く未来について掘り下げます。
また、普段から愛用頂いているというq parisのアイテムとの出会いや着け心地も伺いました。
ヴェルヌ華子さん 【プロフィール】 Plantful Journey 代表、プラントベース ウェルネス コーチ。 慶應義塾大学環境情報学部卒、在学中はパリのESSEC ビジネススクールに留学。 CHANEL日本支社ファッション本部にてマーケティングに携わったのち、フランス本社ファッション本部・時計宝飾本部にてマーチャンダイジングを経験。 2022年春に退社し、より良い環境を求めて家族でミラノに移住後「Plantful Journey プラントベース ウェルネス アカデミー」を設立。 プラントベース軸で自分に合った食習慣が実現できると人気のプログラム「Plantful Journey Program」主宰。詳細はこちら。 2023年秋、パリ・コルドンブルー調理学校のPlant-based Culinary Artsディプロマコースを日本人としてはじめて卒業。 Instagram/Youtube |
《プラントベースとは?》
「プラントベース」は、「植物」を意味する「Plant」と「由来」を意味する「Based」を組み合わせた言葉。
「植物性の食品をより積極的に摂っていこうとする食のスタイル」のことを指します。
《ヴィーガンとの違いは?》
「ヴィーガン」は、食だけではなく洋服や日用品など生活のあらゆるものから動物性のものを除く生き方のこと。
一方、プラントベースは食のスタイルのことを指し、なるべく植物性食品を積極的に選んでいこうとする考え方のことです。
「動物性食品を食べない=引き算」ではなく「植物の持つ栄養やパワー積極的に取り入れる」プラスの考え方といえます。
100%プラントベースの人とヴィーガンの人の食べているものは同じともいえますが、マイナスかプラスか、そのアプローチの仕方が異なります。
「ファッション」「食」が
身近だった少女時代
キャリアチェンジに至るまでの経緯を教えて下さい。
異なる分野ではありますが、実は2つとも子供のころから興味はありました。
父の仕事の都合で、小中学生の4年間をロンドンで過ごしたのですが、今振り返るとそのころの影響が大きかったと思っています。
ロンドンのファッションは当時の日本よりもフリースタイルで、「〇歳だからこういう服を着た方がいい」「〇〇でなければならない」といった見えない圧力が少ない印象でした。
街を歩くと自分の好きな服で個性を自由に表現している大人がたくさんいて、私自身も子ども心に「自分を表現するツールとしてのファッション」に惹かれたのだと思います。
また、ロンドンはパリに負けず劣らずアート&ファッションが有名なのですが、自分の考えをアートではなくファッションでも表現する…という考え方がとても斬新でした。
元々日本でも食を大切にする祖母や母に恵まれ、毎日家族で食卓を囲んでおいしい料理を味わえる環境で育ちましたが、ロンドンに引っ越してからは父がレストラン運営に携わり、母も料理教室を開くなど食がより身近な存在になったんです。
はい、そう思います。
日本に帰国後は大学に入学しましたが、当時の私はファッションを深く学びたい気持ちが強かったので、ファッション方面の進路を模索しました。自分自身がデザイナーになるのではなく彼らを支える方が自分には向いていそうだと感じていたため専門学校ではなく大学を、そして学びたいことがたくさんあったため自分で自由に時間割を組める学部を選びました。
経営・マーケティング・ブランディングとさまざまな学問を学ぶ傍ら、ファッションショーを開催するサークルに所属し、世界観やテーマを細かく作り込んだイベントも実施。卒業後にファッション業界で働きたいという夢もよりはっきり描けるようになり、ラグジュアリーブランディングを本格的に学ぶべくパリのESSECビジネススクールに留学しました。
最初はやはり大変でした。ですが「ファッションと言えばフランス!」と考え、大学の第二外国語でフランス語を学んでいたことから、あえて英語ではなくフランス語での授業を取り、なんとか1年後にはプレゼンができるまでに。現地の小さなメゾンでインターンも経験してから帰国しました。
はい。留学から帰ってきた時点で卒業まで残り3か月だったので、就活を急がないといけませんでした。
ファッション業界で働きたいということは決めていたので、求人を出していないところを含め自分が好きだと感じるブランドにどんどんアタック。履歴書を100通は送り、幸運にもフランスのラグジュアリーブランドに採用していただけました。
一般的に大学生が行う就活とは異なる方法で入社したからか、同期はおらず私ひとりでした(笑)。
ファッション業界でキャリアを
築いた10年間
それが、紆余曲折あったんです。マーケティング職のポジションでキャリアをスタートし、貴重な経験をたくさんさせていただきました。
一方で、外資系企業とはいえ日本支社であり、当時は上司や同僚も日本人がほとんど。いわゆる「日本ならでは」の協調性が重視される面もあり、もちろん良い所もありつつ、新しいこと・決められたこと以外のことにチャレンジしたり若いうちからイニシアティブを取ってプロジェクトを進めていきたい!と燃えていた私にとっては少しもどかしい部分もありました。
数年間キャリアを積んだのち、やはりフランスのファッション業界で挑戦したい!という想いが強くなり、ダメ元でフランス本社への異動を希望。もし叶わなければ退職して渡仏する覚悟でしたが、なんと希望が通り異動できることに。
フランス本社への異動後、困ったことなどはありませんでしたか。
フランス本社の社風は求めていた社風に近く、のびのび仕事をすることができました。とはいえ、言語や文化の壁が全くなかったわけではありません。
例えば、会議ではネイティブに囲まれてどんどん議論が進み、日本人だからと言って誰も待ってくれたり意見を聞いてくれたりはしない。
フランスの文化では、何も発言しないと意見がない・場合によっては頭が悪いとさえ思われることがあるため、周囲の人をさえぎってでも議論に参加しなくてはならず、慣れるまでには手こずりました。
ファッションから食へ。
キャリアチェンジのきっかけとこれから
一番大きかったのは、プラントベースとの衝撃的な出会いでした。
当時の私はフランスで結婚・出産もし、パリでワ―ママとして忙しく働いていました。
非常にやりがいのある仕事でしたが、10年以上同じ会社で働いて、今後在籍し続けた場合の自分のキャリアパスがなんとなく見えてきていました。
そして、職位が上がるほど現場と関わることが減り「どんなお客様が・どんな時に・どんな表情でアイテムを購入して下さっているのか」が見えづらくなっていたのも事実です。また、ずっと全力疾走してきたため、自分を労わるセルフケアの大切さにも気づき始めていました。
そんなことが重なり今後のキャリアを模索していた頃、偶然100%プラントベースのレストランで食事をする機会がありました。
実は、始めは「ヴィーガンやベジタリアン=味気ないだろうな」というイメージを持っていたのですが、食べてみてびっくり。創意工夫を凝らしたコース料理はどれも味わい深く、こんなにおいしいプラントベースの料理があるんだと感動してしまって。
この体験をきっかけにプラントベースに興味を持ち、小さなころから関心のあった「食」を仕事にすることへの興味が膨らみはじめたんです。
早速このレストランのシェフが開催するスクールに登録し、自身と家族の食生活もプラントベースに移行。思い切って会社を辞め、「Plantful Journey プラントベース ウェルネス アカデミー」を設立しました。
講演会やワークショップなど、様々な形で精力的に活動。
活動を通じて、お客様の表情や反応を直接見られることが大きなモチベーションに。
はい。これから残りの人生で何をしたいか?を考え抜いたうえでの決断で、とても満足しています。
自分が心から良いと実感しているプラントベースを広めながら、多くの方と直接関わり喜ぶ表情を見られること・自分のやっていることが相手にどういう影響を与えているのか実感できることがやりがいに繋がっています。
また、ファッション業界もそうですが、食はサステナビリティとは切っても切り離せません。活動を通じてサステナビリティをさらに強く意識するようになりました。
おいしくて、体に良くて、地球にも優しい一石三鳥のプラントベースを、もっと多くの方に知ってもらいたいと思っています。
マルシェで新鮮な食材を選ぶ華子さん
華子さんのオリジナルレシピ:菜の花のアーリオオーリオ
Plantful Journeyをもっと成長させて「プラントベースと言えばPlantful Journeyだよね」と言ってもらえるようになりたいです。
また、現在は自分に合ったプラントベース習慣を実現・楽しんでもらうためのプログラムを提供していますが、これをさらに発展させてプラントベースを広める側の人材を育成したいです。
他にも、プラントベース食をたっぷり満喫するリトリートツアーの開催や、日本では見つけづらいプラントベース食材のEC販売、健康経営の切り口から、従業員の方の健康を守りたいと考える法人に向けた社員研修など、やりたいことは尽きません。
「とにかく行動」して
未来を切り拓く
もしかすると、私は挫折を挫折だと思わないタイプなのかもしれません(笑)。
留学から帰国し就職できるか不安な時も、フランス本社へ異動したいと思った時も、とにかく行動してみることで解決してきました。
実は、仕事と子育ての両立がうまくいかず、上司の理解も得られなかったことがあり、その時はとてもつらかったのですが、人事に相談したり、異動を希望したり、転職活動をしたりとなんとか状況が良くなるよう手を尽くしました。
結果として自分にとってより働きやすい部署に異動できましたが、つらい環境のまま我慢をすることはないと思います。
いつ何がきっかけで自分の「好き」「嫌い」が見つかるかわからないので、少しでも心が動くものはどんどん試してたくさん種をまいておくのが良いのではないでしょうか。
また、難しく考えず「どんなに大変でも嫌にはならないことはなんだろう」と考えてみるのもいいかもしれません。
私もファッション・食と好きなことを仕事にしてきて日々大変なことはありますが、なぜかもう嫌…とはならないので、きっとこれが私の好きなことなのだろうと思います。
q parisとの出会い
celin(セリーン)を身につけた華子さん。デニムのアイテムとあわせてカジュアルに
共通の友人を通じて、ブランドプロデューサーのChisaさんと出会ったのがきっかけです。
実は、ファッション業界で働いていたころ自社アイテムにイヤーカフもあったのですが、私の耳には合わなかったのか痛みが出てしまって…。
「イヤーカフ=痛い」というイメージがぬぐえなかったのですが、Chisaさんからq parisのアイテムは痛くないよと聞き、パリでcamille(カミーユ)を購入。試してみたところ本当に全く痛くなくてすっかり気に入り、日本に帰国した時に追加でcelin(セリーン)を購入しました。
小さな子ども2人を育てているため毎日よく動くのですが、全く落ちる気配がなく軽くてつけやすいので日常遣いしています。
食べ物を扱う仕事をしていても安心で、メディアに出演する時も重宝しているんですよ。
特に大ぶりのアイテムがお気に入りで、これひとつで顔周りがパッと華やかになるcelin(セリーン)やgrace(グレース)をよく使っています。
今は他にはsophie(ソフィー)も気になっています。q parisのアイテムをいくつか、もしくは手持ちのアクセサリーといろいろ組み合わせるのも楽しいですよね。
grace(グレース)はこれひとつで顔周りが華やかに。
素敵だと思います。
私もプラントベースというポジティブ&シンプルな考え方に出会って自己肯定感がアップしたり、シンプルなライフスタイルにこそある幸せや豊かさに気づくことができました。
q parisのコンセプトにもある「自分の価値観に合うか」「心がときめくか」を大切にモノを選ぶという考え方にも共感しますし、q parisのアイテムを通してそういう考えがもっと世の中に広まると良いですね。
セルフケアを大切にする華子さん。リラックスしたい時いただくお気に入りのドリンク、ドリップカカオ
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常に自分の心に正直で、やりたいことに全力でチャレンジしている、パワフルでポジティブな華子さん。
圧倒的な行動力で道を切り拓いてきた彼女の言葉は、シンプルでいてどれも実感がこもっています。
彼女の生き方は、知らず知らずのうちに自身の可能性ややりたいことにに蓋をしてしまっている人・やりたいことを模索している人がもっと自分らしく生きるためのヒントになるのではないでしょうか。
【パリで輝く日本人 #02】
子連れでフランス移住を決意。「自分の可能性を狭めない」q paris〈キューパリ〉ブランドプロデューサー・Chisaさんのしなやかな生き方
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